もしもあなたと不倫したら case.3手越くん
てごちゃんは難しかったー!
こっそり不倫とかするイメージできなくて3回くらいごっそり書き直しました笑
なんとかイメージできる手越くんを書き上げました( ◜௰◝ )れつごー!
case.3 手越祐也の場合
趣味のフットサルがきっかけで仲良くなり、旦那と結婚して3年。
月に何度か旦那の試合をチームメイトの奥さんたちと観戦するのがお決まりになっている。
最初は楽しかった。
しかし今では行くのが憂鬱でしかたない。
昼になり各々が持参したお弁当を広げてみんなで囲む。
「うわー鈴木さん家のお弁当うまそー!お、山田さんとこも超豪華。うちなんてまじポンコツ弁当だから羨ましいっすわ~。」
「そんなことないじゃん。美味しそうだよ?」
「いやいや、全然すよ!まぁ、前よりはマシになったけど?コイツほんと何やらせてもダメで。飯なんて食えたもんじゃなかったですから。家事とかロクにできないしトロいしださいし暗いし。なぁ?」
「…うん。」
今日もまた始まった。
何をやってもどんなに頑張ってもけなされて人前でバカにされて。
私がもっとちゃんとしてればこんなに言われないのだろうか。旦那の言葉が怖い。
フットサルだって元々はプレイするのも好きだったのに何か言われるのが怖くてできなくなってしまった。
「○○さんの旦那さんてツンデレだよね~。人前では厳しいけど、家では優しいんでしょ?」
そんなことないです。家でも変わらないです。なんて言えるわけなかった。
次の週末。
旦那の大学時代の後輩がチームに加わることになり3人で練習場に向かうことに。
きっとまた今日も何をやってもけなされる。胃がキリキリする。
「先輩久しぶりっす~!!」
「おぉ手越!久しぶりじゃん。4、5年ぶりくらいか?」
「ですね~海外赴任でずっとヨーロッパ行ってました。あ、遅くなりましたけど結婚おめでとうございます!」
「お~、紹介するわ。うちの。まぁ地味でつまんないやつだけどよろしくな。」
「先輩ダメっすよ奥さんにそんなこと言っちゃ。綺麗な人じゃないですか。手越です。これから色々とお世話になると思うんでよろしくお願いします。」
旦那の言葉をさらっとかわしてにこやかに挨拶する彼が私にはあまりにも眩しく見えた。
練習場に向かう間も旦那は私を小馬鹿にする。けれどそのたびに角が立たないようさりげなく庇ってくれる手越さん。
慣れない扱いにソワソワする。
太陽みたいに明るい彼はチームメイトともすぐ仲良くなり、あっという間にムードメーカーになった。
練習が始まると手越さんはさっきまでの笑顔から真剣な表情に変わる。
「わ…上手…」
大胆かつ正確なプレイは上手なだけじゃなく華があり、思わず目が釘付けになる。
練習が終わったあとは手越さんの歓迎会をすることに。
「取り分け方のセンスなさすぎ。」
「お前って本当どんくさ笑」
相変わらず旦那はダメ出しをする。
そこでも彼はさらっと庇ってくれた。
「先輩って結構あれですか?亭主関白?奥さんのこともっと大事にしてあげなきゃ。」
「大事にしてるよ?俺が食わせてやってんだから。結婚してないお前にはまだ分かんないかな~。ちょっと俺便所~。」
旦那は手越さんの忠告も我関せず、ご機嫌にトイレへと向かった。
「…奥さん大丈夫ですか?」
「え?あー…はい。すいません…いつものことなので…。」
「まじか。きついな。俺あーゆーのダメなんですよ。女の子大事にできない人許せなくて。」
「手越さんは優しいんですね。私は…私がどんくさいから仕方ないんです。」
「いやいやいや。そんなことないでしょ。奥さ…すいません下の名前聞いていいですか?」
「あ、○○です。」
「○○さんは悪くないです。どんくさくないし、周りのこと気にかけながら一生懸命やってるじゃないですか。」
そんな風に褒められることが久しぶり過ぎて思わず泣きそうになる。
「…ありがとうございます。」
「とにかく、俺でよければ話聞くんで。なんかあったら相談乗りますし、いつでもここに連絡ください。」
そういって手越さんは連絡先を紙ナプキンに書いた。
私はそれを大事に財布へとしまった。
それからの日々は旦那からどんなことを言われても手越さんの言葉を思い出すだけで耐えることができた。
手越さんからもらった連絡先はまるでお守りのようで、握りしめると胃のキリキリも収まった。
試合がある日も憂鬱さより手越さんに会える楽しみの方が勝っていた。
作ってきたお弁当を旦那にどんなにけなされても手越さんが一言「うまっ!」って言ってくれるだけで嬉しくて
ゴールを決めた手越さんがこちらに笑顔を向けてくれるだけで来て良かったと思えた。
「○○さん、お疲れ様です。」
「あ、手越さん。お疲れ様です。」
「あれから全然連絡くれないけど、大丈夫です?俺に遠慮とかしてません?」
「あ…いや、なんか手越さんがあの日かけてくれた言葉にすごく救われてて。それだけで不思議と頑張れてるんです。」
その瞬間、手越さんが少し固まったように感じた。
「あ、すいません!気持ち悪いこと言っちゃって!」
「いやいやいや!そうじゃなくて。あーそうかー。はいはい、なるほど。いやーまいった。」
手越さんはそうブツブツと言いながら髪の毛をくしゃくしゃっとした。
手越さんがチームに加わってから半年がたったある週末、旦那が手越さん含めチームの何人かを呼んでうちで飲むことになった。
またきっとダメ出しされるだろうがお酒のつまみを作って、家をきれいにして、精一杯の準備をする。
旦那は珍しくご機嫌でいつもほどひどいことは言われなかった。
いや、手越さんのおかげかもしれない。
「やべぇ、酒なくなりそうじゃん。なんだよやっぱり準備甘いんだよなぁ。買ってきて。」
「あ…ごめんなさい。足りると思ったんだけど…すぐ買ってきます。」
「だからトロいって言われるんだよ。まだまだ飲むから買えるだけ買ってきて。」
「あ、じゃあ俺もいきます。奥さん1人じゃ重いと思うんで。」
旦那は1人でも大丈夫だと言ったが、酔い覚ましもしたいからと手越さんがついてきてくれることになった。
「すいません、わざわざ来てもらっちゃって。」
「いえいえ。あ、ごはん全部めっちゃ美味かったです。てか、飯がうまいから皆お酒が進んじゃったんすよ。」
本当にいつも優しいなぁ。
手越さんのちょっとした言葉で心が救われる。
好きだなぁ。うん、出会ったあの日から私はきっと手越さんに恋してる。
「手越さんは王子様みたいですね。」
「え?」
「優しくて男らしくて、私いつも手越さんに助けられてます。…手越さんみたいな人と結婚したかったな。」
思わず口にしてみたものの気まずくてさっさと歩きだそうとした瞬間、手越さんに腕を掴まれた。
「そんな可愛いこと言われたら俺もう遠慮できないっす。」
そのままぎゅっと抱き寄せられる。
力強いけど優しくて手越さんらしい抱きしめ方だった。
「最初は先輩にあんな風に言われてるのが気になってて、ほっとけないなーって思ってたんですけど。いつも一生懸命で健気な○○さん見てたら好きになっちゃいました。俺の方が絶対幸せにできるのにって悔しくて。それでも○○さんが先輩のこと好きなら見守ろうって思ってましたけど、いっちゃっていいなら俺遠慮しませんから。」
これは夢だろうか。
何が起きてるのか頭が追いつかない。
「○○さん、正直な気持ち教えて。俺のこと好き?」
「・・・・・・はい。」
そう言うと今までに見たことないくらいの優しく微笑んでおでこにキスをしてくれた。
「俺、絶対大事にするんで。信じてちょっとだけ待っててください。」
「え?」
「先輩から力づくで奪ってもいいけど、そこはちゃんとしたいんで。お姫様を救う準備。」
あまりに臭いセリフも手越さんが言うと自然で、それでもお姫様なんて呼ばれるのはくすぐったくて夜道でもわかるくらい顔が赤くなっている気がする。
「あーくそ。そろそろ戻らないと。この話の続きはまた今度ちゃんと。」
その日はドキドキして眠れなくて、手越さんのことをずっと考えていた。
このまま突き進んでいいのか悩んだが、隣で眠る旦那のどこが好きだったのか思い出せない。
考えてみればここ2年間くらいはこの人に恐怖心しか感じていなかった。
次の月曜日、昼間に手越さんがうちに来ることになった。
せっかくなので昼食を用意する。
「俺営業なんで自由なんですよ。うわっ美味そう。いただきます!…うめー!」
コロコロ変わる表情が可愛くて見ているだけで幸せな気持ちになる。
「で、色々調べてみたんですけど、先輩の言動っていわゆるモラハラじゃないですか。だから別れるなら証拠を残しておけば何かトラブルになっても武器になります。戦える材料がある程度揃ったら俺から先輩にちゃんと話すんでそこは安心してください。」
食事を終えると手越さんは色々な資料を出しながらテキパキと説明し始めた。
もう後には戻れないけどこの人が一緒なら大丈夫、そう思わせてくれる。
「…っとまぁ、こんな作戦なんですけど。もし、やっぱり先輩といたいとか悩んでたら遠慮なく言ってください。その代わり、俺のこと選んでくれたら全力で守るんで。」
そんなのもう答えは決まっている。
本音を言えば不安や恐怖はある。
でもこの人となら乗り越えられる。
「私は…手越さんと前に進みたいです。」
手越さんが両手で自分の顔を覆う。
「手越さん?」
「あーーーーーーーーーー、くっそ。チュウしたい抱きしめたいイチャイチャしたい今すぐ抱きたい。」
いきなり何を言い出すのかと思えば。
あまりにもストレートな欲求に顔から火が出そうになる。
「いや、自分の中で決めたんすよ。全部片付けるまで我慢するって。…大事にしたいから。」
なんて真っ直ぐな人なんだろう。
愛しさが溢れて思わず彼を抱きしめる。
「ありがとう。…手越…くん。」
そう言って今度が私が彼のおでこにキスをした。
これからどんなことが起こるか分らない。
でもきっと彼となら大丈夫。
優しくて真っ直ぐでどこまでも紳士な彼とならどんな道だって怖くない。
えっ、好き。
いやー、そうなんですよ。てごちゃんは真っ向勝負だから。
コソコソ付き合うくらいなら正面からぶつかっていくから。
そんな君が好きーーーーぃ!!!
なんとか私の思い描くてごちゃんが書けたと思います。
さて!ラストは!いよいよ!
加藤シゲアキ大先生です!!!
すげー時間かかるか、一気に書き上げるかのどちらかになると思います( ◜௰◝ )
かみんぐすーん!